結論:用途で選べば、7製品のうち候補は1〜2台に絞れる
モバイルバッテリーは「容量が大きいほど安心」と選ぶと、重くて高いものを毎日持ち歩くことになります。何を何回充電したいかで先に決めてください(価格は2026年10月時点の目安。Ankerは公式ストアの10月23日の表示、エレコムはメーカーの市場想定価格)。
| 用途 | 選ぶもの | 容量・重さ | 価格の目安 | 購入先 |
|---|---|---|---|---|
| 通勤中、夕方までスマホを持たせたい | Anker Nano Power Bank (22.5W, Built-In USB-C Connector) | 5,000mAh・約102g | 3,990円 | Amazonで見る |
| 1泊の旅行、とにかく安く1台 | Anker Zolo Power Bank (10000mAh, 30W, Built-In USB-Cケーブル) | 10,000mAh・約212g | 3,990円〜 | Amazonで見る |
| 長く使いたい、発火のリスクを少しでも下げたい | エレコム DE-C86-10000(半固体電池) | 10,000mAh・約220g | 8,480円 | Amazonで見る |
| iPhoneの背面に貼って、ケーブルなしで | Anker MagGo Power Bank (10000mAh) | 10,000mAh・約250g | 9,990円 | Amazonで見る |
| ノートPCも1回充電したい | Anker Power Bank (20000mAh, 87W, Built-In USB-C ケーブル) | 20,000mAh・約430g | 9,990円 | Amazonで見る |
荷物を1つ減らしたい人には、コンセントに挿せば65Wの充電器になる Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)(16,990円)、ノートPCを持って飛行機で出張する人には、100Whの内側に収まる Anker Prime Power Bank (26250mAh, 300W)(27,990円)があります。どちらも詳しくは下の各製品の節に書きました。
飛行機に乗る人は、2026年4月24日から持ち込めるのは1人2個までになった点も選ぶ条件に入ります。たとえば出張なら「ノートPC用の大容量1台+ポケット用の小型1台」で2個の枠を使い切る組み合わせが現実的です。
2026年4月から変わった3つのこと(機内のルール・電池の種類・捨て方)
飛行機のルールが4月24日に変わりました。国土交通省は、ICAO(国際民間航空機関)の基準の緊急改訂に合わせて告示などを改正し、2026年4月24日から次のルールを加えました。
- 機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1人2個まで(1個160Wh以下)
- 機内でモバイルバッテリー本体を充電しない(座席の電源からモバイルバッテリーへの充電も禁止)
- 機内でモバイルバッテリーからスマホなどへ充電しない
以前は「100Wh以下なら個数の制限なし」でしたが、今は100Wh以下でも2個までです。機内で使えなくなったので、長いフライトでは搭乗前にスマホを満タンにしておくのが基本です。座席に電源がある便なら、スマホを座席の電源に直接つなぐ充電は禁止の対象に入っていません。日本航空は、2027年1月以降は100Whに制限される可能性があるとも案内しています(決定ではありません)。
ナトリウムイオン電池の製品は飛行機に持ち込めません。これは新しいルールではなく、以前から機内持ち込みも預け入れもできない扱いです。ただ、エレコムが4月28日に自社のナトリウムイオン電池のモバイルバッテリー(DE-C55L-9000など)について「持ち込めなくなった」と案内し、国土交通省航空局から「以前から不可」と指摘されて5月1日に訂正、返品・返金の受付を始めたことで、知られるようになりました。発火しにくさや寿命の長さをうたう電池には、このページで挙げている半固体電池(リチウムイオン電池の一種で、飛行機には普通のモバイルバッテリーと同じ条件で持ち込めます)もあります。
捨て方も変わりました。2026年4月1日から、モバイルバッテリーは資源有効利用促進法の「指定再資源化製品」になり、メーカーや輸入事業者に回収と再資源化が義務づけられています。買い替えるときは、古いものをごみに出さず、メーカーの回収窓口か、JBRC会員メーカーの製品なら家電量販店などの回収箱へ。
比較表(2026年10月時点の目安)
「何回充電できるか」と「1Whあたりいくらか」を、容量と価格から計算して並べました。mAhは電圧によって中身が変わるので、比べるときはWh(ワットアワー)に直すと公平です。
| 製品名 | 容量 | Wh | 最大出力 | 重量 | 価格の目安 | 1Whあたり | 5,000mAh級スマホを満タン | 飛行機 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Anker Nano Power Bank (22.5W, Built-In USB-C Connector) | 5,000mAh | 約18.5Wh | 22.5W | 約102g | 3,990円 | 約216円 | 約0.8回 | 持ち込み可 |
| Anker Zolo Power Bank (10000mAh, 30W, Built-In USB-Cケーブル) | 10,000mAh | 約37Wh | 30W | 約212g | 3,990円〜 | 約108円 | 約1.5回 | 持ち込み可 |
| エレコム DE-C86-10000 | 10,000mAh | 38.5Wh(メーカー表示) | 35W | 約220g | 8,480円 | 約220円 | 約1.6回 | 持ち込み可 |
| Anker MagGo Power Bank (10000mAh) | 10,000mAh | 約37Wh | ワイヤレス15W/USB-C 27W | 約250g | 9,990円 | 約270円 | 約1.5回(ケーブル使用時) | 持ち込み可 |
| Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion) | 9,600mAh | 約35.5Wh | 65W | 約308g | 16,990円 | 約479円 | 約1.5回 | 持ち込み可 |
| Anker Power Bank (20000mAh, 87W, Built-In USB-C ケーブル) | 20,000mAh | 約74Wh | 合計87W(USB-C単独65W) | 約430g | 9,990円 | 約135円 | 約3回 | 持ち込み可 |
| Anker Prime Power Bank (26250mAh, 300W) | 26,250mAh | 99.75Wh | 合計300W(USB-C単独140W) | 約600g | 27,990円 | 約281円 | 約4回 | 持ち込み可(100Wh以下) |
※Whは、エレコムはメーカー表示、Anker Prime Power Bank (26250mAh, 300W)はAnkerの海外向け製品情報の値(3.8V換算)、それ以外は3.7Vで換算した目安です。本体のラベルの表示が正です。 ※「5,000mAh級スマホを満タン」は、スマホの電池を約19Wh(5,000mAh×3.85V)、モバイルバッテリーから使える分をWhの8割として計算した目安です。充電しながらスマホを使う、寒い場所で使う、ワイヤレスで充電する、といった条件では少なくなります。 ※価格は、Ankerは公式ストアの表示(2026年10月23日確認)、エレコムは発売時の市場想定価格です(家電量販店の通販では7,000円台後半の表示もあり、その場合1Whあたり約200円)。Amazonや楽天ではセールで下がることがあります。1Whあたりは、価格をWhで割った値です。 ※「飛行機」は1個あたりの容量で見た可否です。2026年4月24日からは、どの製品でも1人2個までです。
表から読めることは2つあります。1つは、この表の中では1Whあたりの価格はケーブル一体型の普通のモデルがいちばん安いこと。Zoloは約108円、20,000mAhの87Wモデルは約135円です。もう1つは、磁石で貼る・充電器と兼用・半固体電池といった付加機能には、1Whあたり2〜4倍強を払っていることです。その機能が要らないなら、Zoloか87Wモデルで足ります。
各製品の詳細
1. Anker Nano Power Bank (22.5W, Built-In USB-C Connector) — ポケットに入れて夕方まで持たせる
本体にUSB-C端子が付いていて、スマホに直接挿すとそのまま一体で持てる形です。約102gで、ケーブルを持ち歩く必要がありません。5,000mAhは、5,000mAh級のスマホを0%から満タンにするには足りず(計算上は約0.8回)、残り20〜30%から満タンまで戻す、という使い方の大きさです。
端子がスマホに挿さった状態で固定されるので、スマホの端子の位置やケースの厚みによっては挿さりにくいことがあります。USB-Cのスマホ専用で、Lightning端子のiPhone(14以前)には直接挿せません。
選ばないほうがいい人:スマホを1日に1回以上0%近くまで使い切る人(10,000mAhのZoloのほうが、同じ価格で容量が倍あります)
2. Anker Zolo Power Bank (10000mAh, 30W, Built-In USB-Cケーブル) — 1Whあたりがいちばん安い、迷ったときの1台
ブラックが3,990円(他の色は4,490円)で10,000mAh。表の中で1Whあたりの価格がいちばん安いモデルです。約14cmのUSB-Cケーブルが本体に付いていて、最大30Wで出力します。メーカーは、iPhone 16を約2回充電できるとしています(Anker調べ)。5,000mAh級のAndroidスマホなら、計算上は約1.5回です。
付いているケーブルはUSB-Cなので、Lightning端子のiPhoneには別のケーブルが要ります。本体の充電は最大20W入力で約2.5時間(メーカー公表値)。夜に充電を忘れると、朝の短い時間では満タンになりません。
選ばないほうがいい人:ノートPCも充電したい人(30Wでは、多くのノートPCは充電が追いつかないか、とても遅くなります)
3. エレコム DE-C86-10000 — 半固体電池で、充放電の寿命を約2,000回とうたうモデル
2026年3月に発売された、エレコム初の半固体電池のモバイルバッテリーです。電解質をゲル状にして、燃えやすい液体の電解液を減らしたリチウムイオン電池で、メーカーは充放電の寿命を約2,000回(一般的なリチウムイオン電池は約500回)としています。容量は10,000mAh(38.5Wh)、約220g、USB-C 2つとUSB-A 1つで、USB-Cは1ポートだけ使うときに最大35Wです。
複数のポートを同時に使うと合計で最大20Wに下がるので、2台を同時に急速充電したい人には向きません。電池の傷み具合をLEDの色で知らせる機能があり、メーカーは使い方によっては約2年で劣化が進むとして、約250回・約500回でLEDの色が変わるようにしています。「2,000回もつから一生もの」とは考えないほうがよさそうです。半固体電池は新しい技術なので、長く使ったときの実績はまだ多くありません。
選ばないほうがいい人:価格を最優先する人(同じ10,000mAhのZoloの約2倍の価格です)
4. Anker MagGo Power Bank (10000mAh) — iPhoneの背面に貼って、充電しながら使う
Qi2対応のMagSafe式で、iPhone 12以降の背面に磁石で付けると、ケーブルなしで最大15Wのワイヤレス充電ができます。ケーブルが邪魔にならないので、電車で立ったままスマホを使いながら充電する、といった使い方に合います。側面のUSB-Cからは最大27Wの有線充電もでき、折りたたみスタンドが付いています。
ワイヤレス充電は有線より熱としてロスが出やすく、メーカーも、iPhone 15/14/13の各モデルへの満充電は2回未満としています。約250gと、同じ10,000mAhの有線モデルより約40g重く、iPhoneに付けたまま持つとずっしりします。Android機は、磁石が付かない機種が多いです。
このモデルは2024年4月発売です。2026年5月には、同じ10,000mAhで厚さ約15mm、アプリで電池の状態を確認できる「Anker Nano Power Bank (MagGo, Plus)」(公式ストア11,990円・ワイヤレス15W・USB-C 30W)が出ており、10月にはワイヤレス出力を最大25Wに上げた「Anker MagGo Power Bank 2 Pro」の国内発売も案内されています(10月23日時点で公式ページに国内価格の記載なし)。2,000円の差で新しいほうを選ぶ手もあります。
選ばないほうがいい人:Androidスマホの人、充電の速さを重視する人(ワイヤレスは最大15Wで、有線30WのZoloより遅い)
5. Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion) — 充電器とモバイルバッテリーを1つにまとめる
折りたたみ式のプラグが付いていて、コンセントに挿せば最大65WのUSB充電器になり、外ではそのまま9,600mAhのモバイルバッテリーとして使えます。モバイルバッテリーとして使うときも最大65Wで、USB-C充電に対応したノートPCに給電できます(メーカーは「MacBook Proにも充電可能」としています)。約308gです。
ただし、9,600mAh(約35.5Wh)はノートPCを満タンにできる量ではありません。ノートPCに対しては「会議の間だけ電池を延ばす」程度の量です。16,990円は表の中で1Whあたりがいちばん高く、充電器を別に買う代金を含めた値段です。
選ばないほうがいい人:すでに65W級のUSB充電器を持っている人(充電器の機能に払う意味が薄く、87Wの20,000mAhモデルのほうが7,000円安くて容量は約2倍です)
6. Anker Power Bank (20000mAh, 87W, Built-In USB-C ケーブル) — ノートPCを約1回充電できる
ノートPCに充電するなら、容量の前にUSB-Cの出力が足りるかを見ます。このモデルはUSB-Cが1ポートで最大65W、合計で最大87W。多くのUSB-C充電対応ノートPCに給電できます。20,000mAh(約74Wh)なので、計算上は50Wh前後のノートPCを約1回、5,000mAh級のスマホなら約3回です。本体への充電も最大65Wで受けられます。
9,990円で1Whあたり約135円と、大容量のなかでは割安です。重さは約430gあります。
2026年8月には、同じ9,990円で後継とみられる「Anker Zolo Power Bank (20000mAh, 87W, Built-In USB-Cケーブル, For PC)」(A1118)も出ています。Amazonの商品ページを確かめられなかったため、このページでは在庫と仕様が確かめられた従来モデルを載せています。
選ばないほうがいい人:毎日カバンに入れて持ち歩く人(スマホだけなら、半分以下の重さの10,000mAhで足ります)
7. Anker Prime Power Bank (26250mAh, 300W) — 飛行機に持ち込める上限近くまで積んだ、出張用
26,250mAhは3.8V換算で99.75Wh。100Whの線の内側に収まるように作られた容量で、メーカーも機内持ち込みに対応するとしています。USB-Cは2ポートとも最大140W、合計300Wで、ノートPC2台を同時に充電できます。本体への充電も速く、USB-C 2ポートから合計最大250Wで入れると約13分で50%まで戻ります(メーカー公表値)。
約600gと27,990円は、スマホだけの人には明らかに大きすぎます。ノートPCを1日中使う出張、カメラやドローンの電源も兼ねる撮影、といった用途に向けた1台です。2026年4月からは機内で使えないので、役目は到着後にノートPCを使うための電源です。
選ばないほうがいい人:スマホしか充電しない人、軽さを重視する人
飛行機に乗る人の「2個の枠」の使い方
1人2個までになったので、旅行や出張では2台の組み合わせで考えます。どちらも機内では使えないので、持っていくのは到着後に使う分です。
| 旅の形 | 1個目 | 2個目 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 国内の1泊旅行(スマホだけ) | Zolo 10,000mAh(約37Wh) | なし(1台で足りる) | 約37Wh・約212g |
| ノートPCを持つ出張 | Prime 26,250mAh(99.75Wh) | Nano 5,000mAh(約18.5Wh) | 約118Wh・約700g |
| 荷物を減らしたい出張 | Prime Fusion 9,600mAh(約35.5Wh・充電器兼用) | Zolo 10,000mAh(約37Wh) | 約73Wh・約520g |
カメラの予備電池など、機器から取り外した電池を一緒に持っていく場合の数え方は、航空会社に確認してください。航空会社がより厳しいルールを決めている場合もあります。
購入前に知っておきたい用語
- モバイルバッテリー:仕組み・容量の目安・安全性
- バッテリー容量(mAh):mAhとWhの違い、何回充電できるかの計算
- PD充電:USB-Cで急速充電するための規格
- MagSafe:iPhoneの背面に磁石で付ける充電方式
停電対策でコンセントの家電も動かしたい場合は、ポータブル電源の比較をご覧ください。
参考にした情報
- 国土交通省「モバイルバッテリーにおける機内持込みの新たなルールについて」(2026年4月14日)
- 定期航空協会「航空機内におけるモバイルバッテリーの取り扱い変更について」(2026年4月14日)
- 日本航空「モバイルバッテリーの機内持ち込みルール変更のお知らせ」
- ケータイ Watch「エレコム、ナトリウムイオン電池搭載製品の航空機持ち込みについて訂正」(2026年5月1日)
- 日本環境協会 エコマーク「モバイルバッテリー」認定基準と認定審査の開始(2026年4月16日。4月1日からの指定再資源化製品への指定に言及)
- PC Watch「エレコム、半固体電池採用のモバイルバッテリー」(2026年2月25日)
- Anker Japan 公式 Anker Prime Power Bank (26250mAh, 300W) 製品ページ
- Anker Japan 公式 Anker MagGo Power Bank (10000mAh) 製品ページ
- Anker(欧州)Anker Prime Power Bank (26250mAh, 300W) 製品説明(99.75Whの記載)